2013年08月12日
宮沢賢治の豊饒の世界
宮沢賢治は、その37年の生涯の中で、実に数多くの詩を書いています。
それは、多種、多様、多作であり、賢治の魂が奔流のように溢れ出て
その思いが具現化されたものでした。まことに豊かな感性の世界が
そこにあります。
まあこのそらの雲の量と
きみのおもいとどっちが多い
その複雑なきみの表情を見ては
ふくろうでさえ遁げてしまう
清貧と豪奢はいっしょにこない
複雑な表情を雲のように湛えながら
かれたすずめのかたびらをふんで
そういうふうに行ったり来たりするのも
たしかに一度はいいことだな
どんより曇って
そして西から風がふいて
松の梢はざあざあ鳴り
鋸の歯もりんりん鳴る
きみ 鋸は楽器のうちにあったかな
清貧と豪奢は両立せず
いい芸術と恋の勝利は一緒に来ない
労働運動の首領にもなりたし
あのお嬢さんとも
行末永くつき合いたい
そいつはとてもできないぜ ~作品番号、日付いずれも不詳
一生独身をとおした、賢治の失恋の詩でしょうか。
Posted by ジョバンニ at 22:32│Comments(0)
│宮沢賢治の詩